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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 当院における過去5年間に分離されたカンジダの検査動向
論文言語 J
著者名 大﨑 さゆり1), 風間 義顕1), 菊池 健太郎2,3), 下山 陽也4), 茂木 千代子1,3), 黒崎 文広3), 芦川 鈴子3), 加藤 良子1), 村川 裕二1,2), 吉田 稔2)
所属 1)帝京大学医学部附属溝口病院中央検査部
2)帝京大学医学部附属溝口病院第四内科
3)帝京大学医学部附属溝口病院Infection Control Team
4)帝京大学医学部附属溝口病院皮膚科
発行 臨床微生物:27(4),281─288,2017
受付 平成29年3月7日
受理 平成29年6月2日
要旨  カンジダ属酵母はヒトに常在するが,immunocompromised hostにおいてはカンジダ症の原因微生物としての割合が高く死亡率も高いため,真菌症の早期診断および適切な治療を行うことは重要である。今回,2011年から2015年まで過去5年間の,自施設におけるカンジダ属の分離数を調査し,症例の臨床背景を検討した。 5年間で細菌検査室に提出された臨床検体5130件のうち1311件からカンジダ属が分離された。種別の分離頻度はCandida albicansC. glabrataC. tropicalisの順に高かった。C. albicansの分離数は経年的に著明に減少し,特に呼吸器・泌尿器系検体からの減少が明らかであった。その時期は広域抗菌薬のantimicrobial use densityが減少した時期と一致していたことから,抗菌薬の適正使用により菌交代現象が抑制されたことが一因と考えられた。カンジダ血症20例の検討では,高齢者,免疫能の低下例や,経静脈栄養例が多く,リスク因子を意識することが早期の診断と治療に役立つと考えられた。
Keywords Candida albicans, 菌交代現象, 経静脈栄養, カンジダ血症
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