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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 血管内留置カテーテル培養「改良Brun-Buisson法」における塗抹検査の有用性に関する検討
論文言語 J
著者名 谷道 由美子1), 矢越 美智子2), 矢内 充3), 中山 智祥1,4)
所属 1)日本大学医学部附属板橋病院臨床検査部
2)日本大学医学部附属板橋病院感染予防対策室
3)日本大学医学部内科学系総合内科総合診療医学分野
4)日本大学医学部病態病理学系臨床検査医学分野
発行 臨床微生物:27(4),289─297,2017
受付 平成28年11月15日
受理 平成29年6月29日
要旨  カテーテル関連血流感染症(catheter-related bloodstream infections:CRBSI)の早期診断のために,Brun-Buisson法を改良した細断法による血管内留置カテーテル先端(血管カテーテル)検体の塗抹検査を日常臨床検査に導入し,その有用性について検討した。2006年6月から2011年5月までの5年間に,血液培養と同時期に提出された血管カテーテル培養検体1,976検体を対象としグラム染色所見,培養結果および血液培養結果について比較検討した。血管カテーテル先端培養で菌が検出された790検体における塗抹陽性率は34.2%であった。血液培養結果とあわせてCRBSIと診断された419検体の塗抹陽性率は50.8%,Colonization例371検体の塗抹陽性率は15.4%となり,CRBSIの場合には塗抹検査で確認される可能性が高いと考えられた。CRBSI症例における塗抹検査の結果は,培養同定菌名に合致するものであった。また,血液培養陽性判明以前に塗抹検査結果が報告されていた109例のうち,塗抹検査の推定菌名を参考に,適正な抗菌薬投与の開始または変更を行った症例は21例であった。細断法による塗抹検査はCRBSI診断の手助けとなり,迅速検査として有用である。
Keywords カテーテル関連血流感染症, 改良Brun-Buisson法(細断法), 塗抹検査
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