子宮体癌の再発でリンパ節転移を来すことは稀ではないが,今回われわれは,縦隔リンパ節転移の気道狭窄による呼吸困難に対し,気管支ステントを挿入して延命効果を得た子宮体癌症例を経験したので報告する.
症例は68歳,2回経産,閉経33歳,子宮体癌IB期,類内膜腺癌Grade 3の診断で前医にて13年前に広汎子宮全摘術を受けた.10年前腟断端に再発し,病巣摘出術を施行された.その後化学療法(サイクロホスファミド,アドリアシン,シスプラチン)を3コース施行され,腟断端に放射線照射を45 Gy施行された.8年前には肺転移に対して肺転移摘出術が施行された.3年前,縦隔リンパ節転移を認め当科紹介となった.Weeky TC療法を3コース施行し腫瘍は縮小していたが,2年前,同部位のリンパ節の増大を認め,放射線照射30 Gy施行した.1年前,咳嗽が出現し,喀痰の排出が困難であった.縦隔リンパ節転移の増大により右肺門部の転移巣は右主気管支から気管分岐部に存在し,直接気管支に浸潤したための症状であった.呼吸器科により気管支ステントが挿入された.転移巣は徐々に増大し,約8か月後に呼吸困難が増悪し入院となり永眠された.長期にわたり複数箇所に再発し,それぞれに加療を行ったが,もっとも予後に関連する気道狭窄について,気管支ステントを用いることで,約8か月の延命効果を得た1例であった.
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