31週1日および27週1日に帝王切開術を行った自然発症のTwin Anemia-Polycythemia Sequence(TAPS)の2症例を経験した.羊水最大深度は,それぞれ3.0 cmと1.7 cm(妊娠30週4日),11.7 cmと4.5 cm,中大脳動脈最高血流速度(MCA-PSV:middle cerebral artery peak systolic velocity)は,28.0 cm/sec(<1.0 MoM)と69.0 cm/sec(>1.5 MoM),21.2 cm/sec(<1.0 MoM)と66.6 cm/sec(>1.5 MoM)であった.胎児心拍数陣痛図で,1例は基線細変動の低下と遅発一過性徐脈を,もう1例は1児に基線細変動の減少,変動一過性除脈を認め,児の娩出を決定した.出生時体重は,それぞれ1,550 gと1,220 g(31週1日),974 gと704 g(27週1日),末梢血ヘモグロビン値はそれぞれ22.6 g/dlと7.1 g/dl,20.8 g/dlと6.0 g/dlであった.27週1日に出生した症例の貧血児は,壊死性腸炎を合併した.いずれの症例も,胎盤に肉眼的吻合血管はなかった.症例2は経時的にMCA-PSVの値を追うことで貧血の可能性が考えられた.TAPSの早期診断にはMCA-PSVの計測が有用であり,治療はFLPを含めた早期介入の必要性が示唆された.
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