卵巣腫瘍を契機に診断された,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の1例を報告する.症例は73歳女性,2回経妊2回経産.近医より卵巣腫瘍の疑いで当科に紹介された.MRIでは右付属器領域に6 cm大,子宮体部に5 cm大,大動脈下大静脈前方に5 cm大の腫瘤像を認めた.採血ではLDH 524 IU/lと高値であった.初診より,1か月の間に急速に腹部膨満感が増強しており,開腹術を施行した.開腹所見では,右卵巣と子宮が8 cm大に腫大し,骨盤内・傍大動脈領域のリンパ節は著明に腫大し,一塊の巨大な腫瘤を形成していた.腫瘍生検として右付属器切除を行い,術後病理診断によりびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された.Ann Arbor臨床病期分類IV AE, Cotswold分類ではIV AEXであった.術後血液内科へ転科し,オンコビンとエンドキサンによる化学療法を行った.多発する腫瘤像や,LDH高値など通常の卵巣悪性腫瘍と比して非典型的な経過を見た際には悪性リンパ腫の鑑別が必要であると考えられた.
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