播種性腹膜平滑筋腫は稀少な疾患であり,術後療法などに一定のコンセンサスはまだない.今回我々は悪性の播種性病変が疑われた症例に対し子宮全摘出術,両側付属器摘出術を行い,再開腹にて低エストロゲン環境下での縮小を確認した播種性腹膜平滑筋腫の症例を経験したので報告する.症例は49歳,2経妊2経産,未閉経.下腹部痛,胃腸症状で来院した.画像診断で間葉系腫瘍による播種病変,卵巣悪性腫瘍の播種が疑われた為,開腹手術を行った.播種性病変の一部を生検し術中迅速病理診断を行ったが,良悪性の診断は困難であった.子宮全摘出術(Abdominal Total Hysterectomy:ATH),両側付属器摘出術(Bilateral Salpingo-oophorectomy:BSO),大網生検術を施行した.術後の病理学的検討により,播種性腹膜平滑筋腫と診断した.BSO後に腫瘤増大の可能性は低いと判断し,経過観察とした.術後3か月目に癒着性イレウスを発症し,小腸機能的端々吻合術を施行した.その際残存していた播種性病変は,肉眼的に縮小しており,病理組織学的にも悪性転化所見はなくMIB-1 indexは低下していた.両側付属器摘出術による低エストロゲンの影響を受けていると判断した.今症例の経験から,低侵襲術式で生検を行い,肉眼的,病理組織学的に病勢の確認を行うことが本疾患の管理には有用である可能性が示唆された.
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