DIC型後産期出血を呈する子宮型羊水塞栓症では,早期の全身管理と抗DIC療法を主とする集学的治療で救命が可能であったという報告が近年散見される1).急激に進行した分娩に引き続いて発症した出血性ショックとともにDIC,呼吸不全を来たすなど臨床的羊水塞栓症が強く疑われた.速やかに子宮収縮剤,抗DIC療法,大量の血液製剤の投与などの集学的治療を行ったが,治療に反応しなかった.困難な状況であったが,子宮を摘出したところ,救命でき,摘出標本から羊水塞栓症と確定診断できた1例を経験した.
大量の血液製剤を投与しても改善がみられないDIC型後産期出血においては子宮型羊水塞栓症の可能性があるため,循環動態が一定しない状態の中でも,十分な血液製剤を準備し,Fib値を常に100 mg/dl以上を維持した上で子宮摘出を行うことで救命につながる可能性が示唆された.
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