加重型重症妊娠高血圧腎症が,慢性高血圧のない重症妊娠高血圧腎症と同様に待機的管理が可能なのか検討した報告は殆どない.今回2004年1月~2012年12月までの期間に横浜市立大学附属市民総合医療センター総合周産期母子医療センターで待機的管理した早発型の加重型重症妊娠高血圧腎症22人と重症妊娠高血圧腎症36人の2群間で,妊娠分娩転帰を後方視的に比較検討した.
分娩週数は加重型重症妊娠高血圧腎症群で28.2週(23+5/7~33+6/7週),重症妊娠高血圧腎症群で29.2週(24+5/7~34.0週)であった(p=0.016).妊娠延長期間はそれぞれ11.0日(4~35),8.5日(3~30)と有意差は無かった(p=0.115).母体合併症(HELLP症候群,子癇,常位胎盤早期剥離,腎障害,肺水腫)は加重型重症妊娠高血圧腎症群で27.3%(6/22),重症妊娠高血圧腎症群で27.8%(10/36)とほぼ同じで(p=0.607),新生児合併症(呼吸窮迫症候群,grade III以上の脳内出血,慢性肺疾患,壊死性腸炎)も加重型重症妊娠高血圧腎症群で66.7%(14/22),重症妊娠高血圧腎症群で58.3%(21/36)と差を認めなかった(p=0.584).
加重型重症妊娠高血圧腎症に対しても,重症妊娠高血圧腎症と同様に待機的管理を行うことができることが示唆された.
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