婦人科良性子宮疾患に対する低侵襲な子宮温存療法の一つとして子宮動脈塞栓術が挙げられる.本稿では婦人科良性子宮疾患に対する子宮動脈塞栓術後に致死的肺塞栓を発症した症例について報告する.症例は45歳女性・未経妊・未経産,多発性子宮筋腫および子宮腺筋症による過多月経を主訴として受診し,子宮温存および低侵襲治療を希望したことから子宮動脈塞栓術が選択された.既往に特記すべきことはなく術前検査では軽度貧血以外の異常は認められなかった.施術および術後同日の経過に問題は無かったが,施術翌日の初回歩行時に突然の意識消失発作をきたし,心拍および呼吸停止のため緊急蘇生が行われた.経皮的心肺補助装置下に心拍は再開したものの,その後に施行した造影CT検査では肺動脈内の血栓像および脳浮腫による脳梁消失を呈していた.その後,心肺補助装置下において心拍が維持されるのみで施術4日目に死亡した.子宮動脈塞栓術は低侵襲のみならず術後合併症の発症も低率である.しかし過去においても同様な術後肺塞栓を発症した報告もあり,将来においてより安全な施術をしていく上でもその予防策を講じる必要性があると考えられる.
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