緒言:再発卵巣がんの予後に対する放射線治療の有効性は不明とされるが,プラチナ抵抗性腫瘍にも適応となりえる場合がある.今回我々はプラチナ不応性の局所再発卵巣がんに放射線治療が有効であった1例を経験したので報告する.
症例:44歳女性.卵巣類内膜腺癌IIc期(pT2cNxM0)で,子宮全摘術,両側付属器切除,腹膜播種巣切除を施行.術後ドセタキセル水和物+カルボプラチンのコンビネーション療法開始した.初回手術より2か月後に骨盤痛出現.腟断端部骨盤内左側に5 cm大の嚢胞性腫瘍を認めた.腟断端からの穿刺吸引細胞診にて腺癌細胞を認め,再発腫瘍と診断.画像上は他部位に再発を認めなかった.セカンドラインとして,ゲムシタビン単剤療法を開始.1コース施行後下血の訴えあり.下部消化管内視鏡検査においてS状結腸壁に浸潤した腫瘤が粘膜に露出し,同部位からの出血を認めた.横行結腸双孔式人工肛門造設を行った後,再発腫瘤に対して放射線照射30 Gy/10回施行したところ,止血傾向を認め退院となった.以降再発腫瘤は消失し現在10か月間無再発である.
考案:再発卵巣がんに対する放射線治療は緩和医療の手段の一つと位置づけられている.しかし局所再発例に対し早期から照射を行うことは予後を改善させる可能性があるとの報告もある.プラチナ不応性卵巣癌の局所再発症例に対して放射線治療も選択肢の一つとなりえると考える.
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