子宮内膜症性卵巣嚢胞は悪性・境界悪性を含め多様な卵巣腫瘍との鑑別が必要であり,病変自体および手術が卵巣機能に直結すること,感染や破裂を来たしやすいことなど取扱いには注意を要する.さらに卵巣腫瘍において術前に良悪性を完全に判別することは不可能であり,また卵巣癌における病理学的な検討で子宮内膜症性卵巣嚢胞自体が卵巣癌の発生母地となっている可能性も注目されている.今回我々は子宮内膜症に対して子宮内膜症除去術を施行し,子宮内膜症性卵巣嚢胞切片中に境界悪性腫瘍が併存した症例を経験した.卵巣子宮内膜症と粘液性境界悪性腫瘍が同一病変内に認められ,粘液性悪性腫瘍の発生を考える上で貴重な症例と考えられた.
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