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第52巻 第1号

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症例報告
腹腔鏡下卵巣嚢腫切除後の不正性器出血を契機に発見しえた子宮仮性動脈瘤の1例
今井 文晴, 岸 裕司, 北原 慈和, 中里 智子, 小林 未央, 小松 央憲, 飯塚 円香, 峯岸 敬
群馬大学医学部附属病院産科婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(1):115-120, 2015

 子宮仮性動脈瘤は手術等の外的操作により子宮動脈が損傷し発症するとされ,多量出血を続発する可能性がある緊急性の高い疾患である.帝王切開術後や流産手術後などの発症例が多く,稀に腹腔鏡または腹腔用補助下手術後に発症する例もあるが,その大半が筋腫核出術後である.今回我々は腹腔鏡下卵巣嚢腫切除術後,不正性器出血を契機に子宮仮性動脈瘤が診断されるという,非常に稀な症例を経験したので報告する.
 症例は29歳,1経産.妊娠中より右皮様嚢腫8 cm大認め,出産10か月後に腹腔鏡下右皮様嚢腫切除術を施行した.経過良好にて術後2日目に退院したが,性器出血を主訴に術後8日目,9日目に外来受診.9日目受診時にグレースケール超音波にて子宮筋層内に1 cm大の嚢胞状に描出される低輝度エコー領域を認めた.カラードップラーによる診察にて,同部位に渦巻き状の乱流を認めたため子宮動脈仮性動脈瘤を疑った.骨盤部造影CTにて右子宮動脈と交通し動脈相で造影される球状構造を認めたため,子宮仮性動脈瘤と診断し,同日緊急右子宮動脈塞栓術を施行.塞栓術施行後は性器出血を認めず,塞栓術後6日目に退院となった.
 子宮筋層に直接侵襲を加えない術式後においても,子宮仮性動脈瘤が発症する可能性があると考えられた.また術後原因不明の子宮出血を認める症例においては仮性動脈瘤の可能性を念頭に,カラードップラーを用いた診察が重要であった.

Key words:uterine artery pseudoaneurysm, laparoscopic ovarian cystectomy, transcatheter arterial embolization
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