分娩施設の選択において,分娩時輸血リスク評価は重要である.今回,妊娠初期の問診で単胎分娩時の大量出血と輸血リスクが評価可能かを検討した.
2010年7月から2014年1月の間,当院で妊娠初期リスクスコアを評価し,22週以降に分娩となった単胎妊娠3,449名を,低リスク群1,131名,中リスク群1,105名,高リスク群1,213名に層別化し,分娩時大量出血例および輸血施行例数を調べた.
母体背景は,年齢(中央値(範囲)以下同様)32歳(15~46),分娩週数39週(22~42),初産54%,帝王切開29%,器械分娩8%であった.分娩時大量出血率は,低リスク群で1.3%(15名),中リスク群で2.5%(28名),高リスク群で5.0%(64名)であった.低リスク群と比して,中リスク群(OR=1.9, 95%CI 1.04~3.61, p=0.038)と高リスク群(OR=4.1, 95%CI 2.36~7.26, p<0.001)は有意に分娩時大量出血率が高かった.分娩時輸血率は低リスク群で0.3%(3名),中リスク群で0.8%(9名),高リスク群で1.5%(18名)であった.低リスク群と比して,高リスク群は輸血率が有意に高かった(OR=5.6, 95%CI 1.75~17.78, p=0.02).
妊娠初期の問診で,単胎分娩時の大量出血と輸血リスクが評価可能であることが示唆された.
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