書誌情報

第52巻 第4号

  • 書誌情報
  • 全文PDF

原著
急速に進行する常位胎盤早期剥離における児救命,無障害生存機会向上の要件―児救命目的に緊急帝王切開を施行した3症例に基づく考察―
大鷹 美子, 浅尾 有紀, 松浦 宏美, 末延 豊, 松川 高久
東京都保健医療公社豊島病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(4):513-519, 2015

 常位胎盤早期剥離は母児ともに重篤な病状となり,児の神経学的予後に重大な影響を及ぼす可能性が高く,しばしば周産期死亡の原因となる疾患である.また急性の経過を辿る重症例では,急速遂娩を行ってもなお児を救命しかつ無障害生存機会を得ることがしばしば困難である.今回自験例3症例に基づき,重症の常位胎盤早期剥離における児の予後改善に向け,診療上の要件とその限界について検討した.なお3例の児の予後は,1例は救命し得ず,1例は重症新生児仮死,1例は新生児仮死を認めず経過良好であった.
 急速に進行する常位胎盤早期剥離症例では,胎児心拍連続モニタリング所見の変化も急激であり,児の予後は胎児心拍モニタリング所見から予測される状態より不良であることも少なくない.周産期管理において緊急性の評価,検査の時間配分,急速遂娩決定のタイミングなどに留意する必要がある.また常位胎盤早期剥離の根本的原因はいまだ解明されておらず,児の予後改善のためには発症機転,発症予知および早期診断に対して多面的な検討が望まれる.

Key words:placental abruption metabolic acidosis perinatal asphyxia, pH values
他地区の会員で全文PDFをご覧になりたい方は、学会事務局へお問合せください。

一般社団法人
関東連合産科婦人科学会

〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp

一般社団法人関東連合産科婦人科学会

ページの先頭へ

Copyright © 一般社団法人関東連合産科婦人科学会