常位胎盤早期剥離は母児ともに重篤な病状となり,児の神経学的予後に重大な影響を及ぼす可能性が高く,しばしば周産期死亡の原因となる疾患である.また急性の経過を辿る重症例では,急速遂娩を行ってもなお児を救命しかつ無障害生存機会を得ることがしばしば困難である.今回自験例3症例に基づき,重症の常位胎盤早期剥離における児の予後改善に向け,診療上の要件とその限界について検討した.なお3例の児の予後は,1例は救命し得ず,1例は重症新生児仮死,1例は新生児仮死を認めず経過良好であった.
急速に進行する常位胎盤早期剥離症例では,胎児心拍連続モニタリング所見の変化も急激であり,児の予後は胎児心拍モニタリング所見から予測される状態より不良であることも少なくない.周産期管理において緊急性の評価,検査の時間配分,急速遂娩決定のタイミングなどに留意する必要がある.また常位胎盤早期剥離の根本的原因はいまだ解明されておらず,児の予後改善のためには発症機転,発症予知および早期診断に対して多面的な検討が望まれる.
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