膀胱外反症は泌尿生殖器および下腹部腹壁の再建を要する先天奇形だが,妊孕性を有し,集学的管理によって健常児を得ることが可能である.今回,膀胱外反閉鎖術・腸管利用膀胱拡大術後の妊娠・分娩例を経験したので報告する.
症例は20歳初産.膀胱外反症に対して,出生直後に膀胱外反閉鎖術・骨盤後方骨切り術,Fallot四徴症に対して心室中隔欠損閉鎖術が施行され,12歳時に膀胱尿管逆流に対して腸管利用膀胱拡大術が施行された.今回自然妊娠が成立し,妊娠8週0日に当院を初診,切迫流産のため妊娠21週4日に入院し,妊娠22週5日にMcDonald頸管縫縮術を施行した.子宮の増大に伴う両側水腎症を認めたため,妊娠28週1日に両側腎ろう造設術を施行した.妊娠36週2日に施行した骨盤X線撮影で骨盤の形態異常と恥骨の部分欠損を認めた.再建した尿路・骨盤の経腟分娩による損傷や緊急帝王切開術を回避する目的で,選択的帝王切開術の方針とした.妊娠37週2日に泌尿器科医・外科医待機下に子宮底部横切開によって2,694 gの健常男児を分娩した.術後5日目に腎ろうカテーテルを抜去し,術後経過は良好だった.
腸管利用膀胱拡大術後の妊娠例では水腎症・尿路感染や早産のリスクが高いため,適切な集学的管理が不可欠であり,他科との連携のもとで母児にとって安全な分娩様式を選択することが重要である.
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