子宮体部扁平上皮癌は全内膜癌の0.1%未満とされ,これまでに約100例の報告を認めるのみである.今回我々は子宮体部原発扁平上皮癌2症例を経験したので,ここに報告する.
症例1は77歳,帯下を主訴に来院され,子宮内膜組織診にて高分化型扁平上皮癌であったため,準広汎子宮全摘出術,両側付属器切除術,骨盤リンパ節郭清術を施行した.摘出標本では漿膜面まで露出する角化型扁平上皮癌を認めたが,リンパ節転移は認めず,pT3aN0M0(Stage IIIA)と診断し術後化学療法を6サイクル施行した.現在術後2年半経過するが,無病生存中である.症例2は72歳,不正性器出血を主訴に来院され,子宮内膜細胞診・組織診で扁平上皮癌の所見を認めた.MRI画像において筋層浸潤は全層に及び,さらに頸部間質浸潤も疑う子宮体癌の所見であったため,広汎子宮全摘出術,両側付属器切除術,傍大動脈リンパ節郭清を施行した.摘出標本では筋層をほぼ全層置換する扁平上皮癌が子宮頸部間質にまで及んでいた.リンパ節転移は認めず,pT2N0M0(Stage II)と診断した.術後化学療法の予定であったが,乳糜漏遷延のため施行に至らず,手術1年後に白血病を発症したため,血液内科にて化学療法を施行し,現在寛解している.
子宮体部原発扁平上皮癌は発生原因や治療法など一貫したコンセンサスは得られていないため,今後も症例の蓄積が必要と考えられる.
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