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第52巻 第4号

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症例報告
エクリズマブを投与した発作性夜間血色素尿症合併妊娠の1例
吉川 美登利, 森田 政義, 井田 耕一, 堀澤 信, 村中 愛, 山本 かおり, 本藤 徹
長野赤十字病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(4):543-548, 2015

 発作性夜間血色素尿症(Paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)は補体依存性に溶血をきたす疾患である.妊娠を契機に溶血や血栓症が起こりやすくなり,母体・胎児死亡,流早産,胎児発育遅延,妊娠高血圧症候群などのリスクが高くなる.今回我々は抗C5ヒト化モノクローナル抗体であるエクリズマブ投与と抗凝固療法を併用することで妊娠を継続し分娩に至った症例を経験したので報告する.
 症例は33歳,0回経妊0回経産.31歳時にPNHと診断され,血栓と溶血による腹痛発作が頻回に起きていた.妊娠8週からヘパリンカルシウム,16週からエクリズマブの投与を開始したところ,溶血発作や血栓症を起こすことなく,38週で分娩となった.
 抗凝固薬に加えてエクリズマブを投与することで溶血発作や血栓症が予防可能となり,妊娠継続に少なからず寄与することを確認した.溶血既往のあるPNH合併妊娠の管理にエクリズマブは有用と考えられるが,報告例は少なく,最適な投与開始時期や母児に対する安全性においてさらに検討を要する.

Key words:pregnancy, PNH, eculizumab, hemolysis
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