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第52巻 第4号

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症例報告
妊娠24週のくも膜下出血(SAH)に対し動脈瘤クリッピング術後,脳保護のため全身冷却を施行した1症例
小林 真弓, 坂本 雅恵, 高木 香織, 西田 慈子, 佐川 義英, 中村 玲子, 尾臺 珠美, 羅 ことい, 栗田 郁, 藤岡 陽子, 市川 麻衣子, 遠藤 誠一, 島袋 剛二
総合病院土浦協同病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(4):573-577, 2015

 妊娠中のくも膜下出血(以下SAH)の発症は稀であるが,発症時の母体死亡率は高率である.今回妊娠24週で脳動脈瘤破裂によるSAHを発症し,動脈瘤クリッピング術後,脳保護のため全身冷却を施行し母児ともに救命できた1例を経験した.症例は25歳,0経妊0経産.妊娠24週1日に駐車場で倒れているところを発見され当院母体搬送となった.頭部CT血管撮影法で左中大脳動脈の動脈瘤破裂によるSAHと診断し,妊娠継続のまま全身麻酔下で動脈瘤クリッピング術を施行した.術後鎮静,人工呼吸管理のうえ脳浮腫,脳保護対策として全身冷却を行った.意識状態は鎮静解除後著明に回復し,術後1か月後に退院となった.妊娠37週に選択的帝王切開で児娩出となった.児は2,482 gの女児で,Apgar score1分値9点,5分値9点であり母児ともに経過良好で術後7日目に退院となった.SAHは早期診断,早期治療が重要であり,母体治療が優先される.本症例は妊娠継続のうえで脳動脈瘤の手術を行い,その後満期で生児を得ることができた.妊娠中に脳低温療法を施行した症例はきわめて少なく,子宮収縮増強,胎児仮死等の副作用の報告がみられる.本症例では全身冷却を施行し,術後発熱を37℃台に抑えることができた.急性期脳温管理の胎児への影響に関して,今後のさらなる症例の集積が必要である.

Key words:Pregnancy, Subarachnoid hemorrhage, Cerebral aneurysm rupture, Aneurysm surgery, temperature management
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