妊娠に合併した子宮頸癌IB期の治療方針は未だ確立されておらず,特に胎児が子宮外生存の不可能な時期に診断された場合には,治療方針に苦慮することが多い.今回我々は,妊娠初期に子宮頸癌IB1期と診断され,術前化学療法(NAC)により妊娠週数を延長したのち,帝王切開術および広汎子宮全摘術を施行した2症例を経験したので報告する.症例1は33歳,未経妊,妊娠12週にcoin biopsyを施行しIB1期と診断.カルボプラチン単剤によるNAC 3コース後に妊娠31週で帝切術および広汎子宮全摘術を施行した.症例2は35歳,1経産,妊娠18週にcoin biopsyを施行しIB1期と診断.カルボプラチン単剤によるNAC 3コース後に妊娠35週で帝切術および広汎子宮全摘術を施行した.2症例とも現在まで児に異常はなく,母体に再発所見を認めていない.過去の文献報告と合わせて,NACによる分娩の延期は,妊娠中の子宮頸癌IB1期の合理的な治療選択肢である可能性がある.
〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp