ポリープ状異型腺筋腫(APAM)は性成熟期女性の子宮体部下部に好発する腫瘤で,病理学的には異型を伴う子宮内膜腺と異型のない平滑筋成分からなる間質が特徴である.臨床的には不正性器出血と過多月経を呈し,MRI上径約2 cm前後の充実性腫瘤を示すことが多いが,9 cmを超える報告は極めて稀である.今回,水様帯下を主訴とし,腟内に突出する11 cmの腫瘤を形成し,MRIで多房性嚢胞状パターンを示すという特異な臨床像を呈したAPAMの一例を経験したので報告する.
症例は22歳の女性で,水様帯下を主訴に前医を受診したところ,腟内に充満する巨大な腫瘤を指摘されたため当科へ紹介された.MRI上腟内に突出し,子宮体下部後壁に茎をもつ長径11 cmの境界明瞭な腫瘤を認め,内部は多房性嚢胞状であった.子宮頸管ポリープ,腺肉腫などを疑い,確定診断のために腟式腫瘍切除術を施行した.腫瘍は灰白色調で脆く,豊富な粘液を含んでいた.病理検査では異型のない平滑筋で構成される間質内に異型子宮内膜腺管が増殖する像を認め,APAMと診断した.また腫瘤内には嚢胞状に拡張した多数の腺腔と腺上皮での粘液産生が観察され,これが本例の特異な臨床像である水様帯下や大型の腫瘤形成,MRIでの多房性嚢胞状パターンの原因となったと考えられた.
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