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第52巻 第4号

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症例報告
腟原発悪性黒色腫の一例
天津 慎子, 池田 仁惠, 平野 結希, 楢山 知明, 信田 政子, 平澤 猛, 石本 人士, 和泉 俊一郎, 三上 幹男
東海大学医学部専門診療学系産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(4):635-639, 2015

 腟原発悪性黒色腫は,全悪性黒色腫の1%以下,全腟悪性腫瘍の3%以下と稀な疾患であり,リンパ行性・血行性に転移をきたしやすく極めて予後不良である.今回われわれは,腟原発悪性黒色腫の一例を経験したので報告する.
 症例は62歳,2経妊2経産,不正性器出血を主訴に近医受診.内診上,腟壁より突出する腫瘤を認め,組織診で悪性黒色腫と診断され当院紹介となった.
 初診時,腟円蓋部7時方向に30 mm大の易出血性の黒色腫瘤を確認した.骨盤MRIでは腟後壁に造影効果を示す辺縁不整な腫瘤を認め,胸・腹部CTでは他臓器への転移はなかった.血液検査上,5-S-cysteinyldopaが16.9 nmol/Lと高値を示した.
 手術所見では,腟壁7時方向に35 mmの外向性に発育する黒色腫瘤性病変を認め,さらに腫瘤付着部より腟後壁を這うように黒色病変が連続していた.病理組織学的診断では,腫瘍はMelan A,HMB-45,S-100蛋白陽性で,AJCC分類にて悪性黒色腫IIB期(pT4aN0M0)であった.
 術後補助治療として,DAVFeron(ダカルバジン,ニムスチン,ビンクリスチン,インターフェロンβ)療法を開始するも,腟および骨盤内に再発を認めたため3サイクルで終了した.現在,分子標的療法である抗PD-1(Programmed Cell Death-1)抗体療法を開始し,腫瘍の縮小が得られている.

Key words:Malignant Melanoma, Vagina, Programmed Cell Death-1
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