卵巣Sertoli-Leydig細胞腫(SLCT)は性索間質性腫瘍に分類される稀な腫瘍でありテストステロン(TS)産生能を有する.また若年者にも多く約8割は悪性腫瘍としての対応が必要な中・低分化型であるうえ,異所性成分を認める場合には診断が困難な場合があるため慎重な対応が必要とされる.術前・術中診断が困難であったSLCTの一例を経験したので報告する.症例は18歳の女性で約1年前より無月経となり前医を受診した.血清TS値の上昇(1.1 ng/ml)およびMRI上長径4 cmの一部嚢胞と出血を伴う右卵巣充実性腫瘍を認めたため当科紹介となった.PET-CTで強い集積は認めなかったため良性の性索間質性腫瘍と判断し腹腔鏡手術が行われた.まず,楔状切除で右卵巣腫瘍の一部を術中迅速組織診に提出したところ,腸型腺管が認められ成熟奇形腫と診断された.しかし,正常部位との境界が不明瞭で核出が困難であったため,腹腔鏡補助下右付属器摘出術が施行された.術後病理診断は腸上皮の異所性成分を含んだ中分化型SLCTであったため,補助化学療法を施行し,以後40か月間再発を認めていない.性索間質性腫瘍を疑う腫瘤で,迅速組織診で腸型腺管を認めた場合には,SLCTの異所性成分である可能性も念頭に置く必要がある.またMRIでの嚢胞部分や腫瘍内出血部位は異所性成分と一致していたことより,術前診断として重要であると考えられた.
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