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第52巻 第4号

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症例報告
単頸双角子宮の片側に発生した平滑筋肉腫の1例
横澤 智美, 佐治 晴哉, 紙谷 菜津子, 大和田 望, 上西園 幸子, 新井 夕果, 小畑 聡一朗, 瀬川 恵子, 服部 信, 白須 和裕, 平吹 知雄
小田原市立病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(4):681-686, 2015

 子宮奇形に発生した子宮体癌や子宮癌肉腫の報告例は国内外で散見されるが,子宮平滑筋肉腫の報告はない.今回,我々は単頸双角子宮の片側に発生した平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.症例は63歳,2経妊2経産,閉経55歳.2か月前からの不正出血を主訴に前医を受診し,子宮体部腫瘍を認めたため悪性腫瘍の精査目的に当院へ紹介となった.当院で子宮内膜組織診を施行したところ平滑筋肉腫の診断となった.骨盤部MRIで単頸双角子宮であること,左側子宮底部に径8 cm大の辺縁不整な腫瘤,右側子宮体部に径6 cmと4.5 cmの境界明瞭な腫瘤を認めた.開腹手術により,左側子宮底部腫瘍は子宮平滑筋肉腫,右側体部腫瘍は平滑筋腫であることを確認した.子宮平滑筋肉腫,単頸双角子宮はいずれも頻度は高くないが日常診療で遭遇する可能性がある.子宮平滑筋肉腫は症状や所見が子宮筋腫と類似するため鑑別に苦慮することがあるうえ,組織学的診断の正診率も低いが,双角子宮に合併する場合には選択的な患側からの組織採取や全体像の把握に難渋する可能性がありさらに術前診断が困難となりうる.単頸双角子宮に合併した子宮腫瘍を認めた場合には臨床症状や経腟超音波検査,MRIなど画像検査に加え,腫瘍マーカーなどから得られる情報に注目しつつ,総合的に評価した上で診療にあたっていく必要がある.

Key words:Bicornis unicollis, leiomyosarcoma
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