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第52巻 第4号

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症例報告
子宮体癌を合併したエストロゲン産生卵巣黄体化莢膜細胞腫の1例
福島 治朗, 大森 真紀子, 多賀谷 光, 端 晶彦, 平田 修司
山梨大学医学部産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(4):739-745, 2015

 エストロゲン産生卵巣腫瘍は子宮体癌の原因となりうることが知られている.今回われわれは,画像検査で検出が困難な小さなエストロゲン産生卵巣黄体化莢膜細胞腫に子宮体癌を合併した1例を経験した.
 症例は58歳, 2経妊2経産,閉経52歳.超音波検査で5 mmの子宮内膜肥厚を指摘された.血中エストラジオール(E2)は39 pg/mlと閉経後にしては高値であったが,超音波検査で卵巣に異常はみられなかった.子宮内膜は次第に厚くなり,初診から12か月後には15 mmとなり,子宮内膜組織診で複雑型子宮内膜増殖症と診断された.E2は111.5 pg/mlに上昇した.エストロゲン産生卵巣腫瘍が疑われたが,MRI検査では両側卵巣に異常は認められなかった.不正出血が出現し,初診から15か月後に行った子宮内膜全面掻爬術でも複雑型子宮内膜増殖症の診断であった.不正出血が続くため,20か月後に患者と相談のうえ単純子宮全摘出術および両側付属器摘出術を行った.右卵巣に10 mmの黄体化莢膜細胞腫が認められ,子宮には複雑型子宮内膜増殖症を背景に子宮体部類内膜腺癌,grade 1が認められた.術後,血中E2はすみやかに低下した.
 画像検査で検出困難なほど小さなホルモン産生卵巣腫瘍であっても,エストロゲン高値を背景に子宮体癌の発生に関与する可能性がある.ホルモン産生卵巣腫瘍が疑われる場合には,注意深い管理が必要である.

Key words:ovarian neoplasms, luteinized thecoma, endometrial carcinoma, estrogen, endometrial hyperplasia
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