【緒言】卵巣癌の治療薬の一つであるリポソーム化ドキソルビシン(PLD)の代表的な有害事象である手足症候群と抗腫瘍効果の関連についての報告は少ない.乳癌等に使用されるカペシタビンでは手足症候群と抗腫瘍効果の関連が報告されており,PLD治療中の手足症候群等の有害事象と抗腫瘍効果の関連性について検討した.
【方法】2009年6月~2013年7月にPLDを3サイクル以上当院で使用した卵巣癌・腹膜癌患者48例を後方視的に検討した.患者背景,有害事象をRECISTによるCR+PR+SD症例をあわせた群(Clinical benefit群),PD群で検討した.また,多変量解析を行い2群間で有意差を認めた手足症候群のCTCAEグレード別の無増悪生存期間を比較した.
【成績】Clinical benefit群の15例とPD群33例を比較し,治療開始年齢,前レジメン数,好中球減少,口内炎の発症率などの患者背景は有意差を認めなかった.一方,Grade2以上の手足症候群の出現率はClinical benefit群68.8%,PD群33.3%と有意差を認めた(p=0.02).Grade2以上の手足症候群が出現した群ではGrade1以下の手足症候群の群に対し,p=0.02と無増悪生存期間の有意な延長を認めた.
【結論】PLDの代表的な有害事象である手足症候群は抗腫瘍効果を反映している可能性が示唆された.
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