【緒言】子宮体部神経内分泌腫瘍は稀な疾患で予後不良とされ,標準治療は確立されていない.今回我々は,神経内分泌腫瘍への分化傾向を示した子宮体癌に対し術後化学療法としてPI療法(シスプラチン+イリノテカン)の効果を認めた症例を経験したので,TC療法(パクリタキセル+カルボプラチン),PE療法(シスプラチン+エトポシド)を施行した症例と併せて報告する.【症例】症例は60~70歳代で,血液検査で症例1ではLDH,CEA,CA19-9,CA125,NSE,症例2ではLDH,CA125,症例3ではLDH,CEA,NSEの上昇を認めた.いずれもMRI検査で10 cm超の子宮腫瘤を認め,CT検査では症例1および2に多発肺転移を認めた.3例ともに腹式単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,大網切除術を施行した.全ての症例が子宮体癌IV期の診断であり,免疫組織化学染色で神経内分泌腫瘍への分化傾向を認めた.術後化学療法として症例1はPI療法,症例2はTC療法,症例3はPE療法を施行した.症例1は部分奏効となり初回手術より1年3か月増悪・再発なく経過中であるが,症例2,症例3では初回手術から9,7か月で永眠した.【結論】神経内分泌腫瘍への分化傾向を示す子宮体癌においてPI療法が治療の選択肢の1つとなり得る可能性が考えられた.
〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp