子宮平滑筋腫では静脈内へ進展し腫瘍栓を認めることがあるが,子宮平滑筋肉腫が静脈へ浸潤し腫瘍栓を形成することは稀である.今回,子宮平滑筋肉腫の再発腫瘍が静脈内へ浸潤し,外科的に切除・治癒し得た例を経験した.
症例は56歳の女性.50歳時に単純子宮全摘および両側付属器切除を施行され,子宮平滑筋肉腫IB期(脈管侵襲なし)の診断であった.初回治療から6年6か月より軽度の下腹部違和感を認め,全身CT検査にて骨盤内腫瘍,LDH 264 IU/l,D-ダイマー1.71 μg/mlと軽度上昇を認め,子宮肉腫再発の疑いで精査加療となった.手術準備をしていたところ,突然の左下肢浮腫および疼痛を認め,LDH 458 IU/l,D-ダイマー1.92 μg/mlと上昇していた.骨盤MRI検査では骨盤内腫瘤が左外腸骨静脈内へ侵入し左総腸骨静脈までの占拠する腫瘤性病変を認めた.血管内腫瘤に浮遊性を認めていないため下大静脈フィルターは挿入せず,骨盤内および血管内腫瘍摘出,静脈血管再建温存手術を施行した.子宮平滑筋肉腫再発と診断し,術後療法施行せず1年7か月を経過するも再発所見は認めていない.
子宮平滑筋肉腫の再発腫瘍が直接静脈内に進展するように浸潤,腫瘍栓を形成し下肢静脈塞栓症状を認めることがある.静脈内へ侵入浸潤した再発腫瘍を認めた場合には血管再建を含めた外科的手術で再発腫瘍を完全摘出することも考慮される.
〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp