母子感染の中で,サイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)は頻度が高く,かつ児に神経学的な後遺症を残すことがあるため,重要である.妊婦のCMV抗体保有率は70%程度と低下しつつあり,妊娠中の初感染による胎児感染の増加が懸念されている.
今回2011年4月から2013年4月までの3年間に当院で経験した先天性CMV感染症(congenital cytomegalovirus infection:CCMVI)2症例について報告する.症例1は,妊娠18週より胎児腹水認め,妊娠28週胎児腹水増量のため当センター紹介となる.羊水中CMV-DNA検査よりCCMVIと診断し,腹腔内胎児グロブリン療法施行となる.胎児腹水は著明に減少し,妊娠40週2日自然経腟分娩となる.症例2は,他院よりNRFS,胎児腹水の診断にて当センター母体搬送となり,緊急帝王切開となる.新生児尿,血液のCMV-DNA検査よりCCMVIと診断した.2症例とも出生後VGCV内服施行し,治療前後にて,聴性脳幹反応(ABR),網膜炎の改善を認めた.今回の症例より,CCMVIの胎内診断や,出生後迅速なCCMVIの診断を行い,胎児治療や,出生後早期の新生児治療を導入することにより,新生児の神経学的予後改善に寄与する可能性があると考えられた.
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