癌肉腫は癌成分と肉腫成分が同時に存在する腫瘍である.婦人科領域の発生母地は主に子宮及び卵巣であり,腹膜原発の癌肉腫は極めて稀である.また子宮内膜症との関連性が示唆された腹膜原発癌肉腫の報告は少ない.今回,我々は子宮内膜症との関連性が示唆された腹膜原発癌肉腫の1例を経験したので報告する.症例は73歳,2回経妊2回経産,閉経53歳.下腹部痛と頻尿を主訴に受診され,卵巣癌の疑いで手術を施行した.開腹時,右側広間膜前葉から発生する骨盤内腫瘍を認め,子宮及び両側付属器は正常であった.腫瘍は一部小腸に浸潤していた.単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,骨盤リンパ節郭清術,大網部分切除術,腫瘍切除術,小腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査では癌肉腫の像を呈しており,腹膜原発癌肉腫と診断した.また,腫瘍の上皮成分の一部は内膜症病変から連続していた.術後療法としてパクリタキセル+カルボプラチン(TC)療法を開始した.TC療法6コース終了時点で再発・転移所見を認めなかったが,その2か月後に再発を認めた.ジェムザール+ドセタキセル(GD療法)を開始したが,急速に全身状態が悪化し,再発を認めた16日後に原病死した.今回,極めて稀な腹膜原発癌肉腫の1例を経験した.癌肉腫の発生機序は明らかにされていないが,子宮内膜症が癌肉腫の発生母地になる可能性があると考えられた.
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