妊娠を契機に発見される子宮頸癌は子宮頸癌全体の2~3%とされる1).しかし,これらについての臨床的な取り扱いは明確でない.本研究では当院で治療を行った妊娠を契機に発見された浸潤子宮頸癌症例15例について診療録をもとに後方視的に検討を行った.全症例の内訳は,臨床進行期IB1期14例,IIB期1例,組織型は,扁平上皮癌10例,腺癌5例であった.診断の契機となった子宮頸部細胞診で細胞診異常が確認された時期は13例(87%)が1st trimesterであった.これに続き子宮頸部組織診または円錐切除術によって確定診断された時期は8例(53.3%)が1st trimester,7例(46.7%)が2nd trimesterであった.妊娠転帰は11例が妊娠を継続せず,速やかに広汎子宮全摘出術を行い,4例は本人希望により妊娠継続し,予定帝王切開術と広汎子宮全摘出術を同時に行った.この妊娠非継続例,継続例の2群間において妊娠初期子宮頸部細胞診,確定診断,広汎子宮全摘出術の各施行時期について解析を行った.その結果,それぞれの中央値は,非継続例では妊娠6週,12週,17週で,継続例では妊娠10週,18週,32週となり,細胞診施行時期は2群間で有意な差は認めず,確定診断については妊娠継続例で遅い傾向を認めた.妊娠初期スクリーニング検査で細胞診異常を認めた際には速やかな対応が重要であると考えられた.
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