近年,生殖補助医療(Assisted reproductive technology:ART)の発展によりART出生児は増加しているが,その実施施設は診療所が中心である.大学関連病院での不妊治療は,時間的制約や人手の確保が困難なため,一部ではARTが行われておらず教育について課題が残るが,合併症および分娩に至るまでの総合的治療が可能などの利点もある.大学やその関連病院の役割として専門医の育成があり,産婦人科専攻医の研修項目でARTの診療に携わることが必須となる予定である.大学関連病院を含む専攻医指導施設での不妊治療の意義を検討するため,調査研究を実施した.調査期間は2014年の1年間とし,関東連合産科婦人科学会加盟地域の大学関連病院を含む専攻医指導施設を対象に,不妊治療の現状に関するアンケートを実施し,解析した.141施設中,回答の得られた66施設のうち,不妊専門外来を有するのは35施設(53.0%),ARTは29施設(43.9%)で施行していた.また,ARTを施行していない施設においてARTを施行している関連施設を有するのは14施設(21.2%)であり,23施設(34.8%)は研修の機会が得られていなかった.現状では研修機関である大学関連病院を含む専攻医指導施設における不妊治療は,診療・教育共に満足な環境とは言えず,システムの再構築や各施設の環境整備などの対応が望まれる.
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