卵巣原発のMalignant Mixed Mullerian Tumor(MMMT)は稀な悪性腫瘍で,確立された治療法はなく予後は極めて不良である.我々はRhabdomyosarcoma(RS)とEndometrioid adenocarcinoma(EA)から成る卵巣原発MMMTの一例を経験した.症例は58歳,0回経妊.下腹部痛を主訴に受診.造影CTで9 cm大の右卵巣腫瘍と,CA19-9の高値を認め,造影MRIを施行し,卵巣癌stage IIaの疑いで手術を施行した.病理診断で囊胞成分はEA,充実成分はRSの所見で,S状結腸筋層浸潤を認め,卵巣原発MMMT stage IIbと診断された.complete surgeryで,薬物治療の奏効率が低いことも考慮し,患者および家族に説明し同意のもとに,術後化学療法は施行しなかった.術後5か月目,造影CTで9 cm大の骨盤内再発腫瘍を認めた.化学療法の奏効率を考慮して外科的切除を優先した.腫瘍は尿管や腸管を巻き込んでおり,骨盤部腫瘍切除術,尿路変更術,腸管切除術,人工肛門造設術を施行した.再手術後56日目に腫瘍増大による急性腎不全のため死亡した.MMMTは多くが診断時進行癌で初回手術はsuboptimal surgeryで終わるが,確立された術後治療はない.本症例は初回手術後に化学療法を施行しなかったが,再発腫瘍は急速に増大した.治療の方針決定に難渋した一例を経験したので報告する.
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