子宮捻転は子宮が長軸に沿って45度以上回転した状態と定義され,急激な腹痛,嘔気,性器出血など非特異的な症状を伴う.術前診断は困難とされているが,DICや出血性ショックに至ることがあるため診断や治療のタイミングが重要となる.今回我々は子宮筋腫を伴う閉経後子宮捻転の1例を経験したので報告する.症例は76歳未経産,4日前からの下腹部痛,嘔気を主訴に受診された.以前より13 cm大の子宮筋腫を指摘されていたが,腹部骨盤部CT検査では以前と比較し大きさの変化は認めなかった.内科疾患も含め精査を行い,子宮に一致する圧痛と炎症反応の上昇を認めたため子宮内膜炎または子宮筋腫変性による骨盤内炎症性疾患と診断し,抗菌薬による保存的加療を行った.保存的加療の効果は乏しく,初診から7日目に開腹手術を施行した.新生児頭大に腫大した子宮体部は暗赤色に変色し,内子宮口の高さで頭側から見て時計回りに720度,両側付属器を巻き込んで捻転していた.捻転を解除し,腹式単純子宮全摘術,両側付属器摘出術を施行した.術後の経過は良好であった.
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