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第53巻 第4号

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症例報告
妊娠中の黄体囊胞茎捻転に対して腹腔鏡下付属器切除術を行った1例
小池 洋, 佐山 晴亮, 設楽 理恵子, 中山 敏男, 入山 高行, 小松 篤史, 永松 健, 大須賀 穣, 藤井 知行
東京大学医学部附属病院女性診療科・産科
関東連合産科婦人科学会誌, 53(4):513-517, 2016

 症例は27歳,未経妊.妊娠6週6日の当院での妊婦健診で左卵巣に2 cm大の黄体囊胞を認め,他には異常所見を認めず妊娠経過は順調であった.妊娠13週3日に左下腹部痛を訴えて近医を受診し経過観察目的に入院したが,入院後も左下腹部痛が持続し,超音波検査で膀胱子宮窩に4 cm大の腫瘤を認めたため卵巣腫瘍茎捻転の疑いで当院へ母体搬送となった.来院時の超音波検査で膀胱子宮窩に7 cm大の高輝度領域を認め,同部位は反跳痛を伴う圧痛点と一致し,妊娠初期の所見も考慮して黄体囊胞茎捻転に伴う卵巣浮腫を疑い同日に緊急腹腔鏡下手術を行った.左付属器は720度捻転し鶏卵大に腫大し暗赤色を呈していた.捻転解除後も色調は不変であり左卵巣壊死と診断して左付属器切除を施行した.術後5日目に退院し,その後の妊娠経過は順調で,妊娠40週4日に自然陣発後に経腟分娩となった.妊娠中に2 cm大の黄体囊胞が捻転することは稀であるため診断は困難であるが,当院では妊娠初期に黄体囊胞を診断していたため母体搬送後に卵巣囊腫茎捻転に伴う卵巣浮腫と診断し手術に臨むことが可能であった.また,妊娠中の腹腔鏡下手術に関する胎児や母体に対する安全性は報告されているが,完全腹腔鏡下で手術を完遂するのは妊娠子宮の存在のため困難とされている.本症例では妊娠13週3日で左黄体囊胞茎捻転を発症し,左付属器切除術を腹腔鏡下で完遂できたので文献的考察を加えて報告する.

Key words:Laparoscopic surgery during pregnancy, ovarian torsion, ovarian edema, lutein cyst
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