子宮体癌に対する妊孕性温存療法は,高い再発率を認めることから治療後の経過観察が重要である.今回,medroxyprogesterone acetate(MPA)療法後に再発し治療した一例を経験したので報告する.症例は未経妊,49歳.36歳時に不正性器出血を主訴に当科受診した.子宮内膜組織診はendometrioid adenocarcinoma,Grade 1で,子宮体癌IA期と診断した.本人が妊孕性温存を希望し,MPA 600 mg/日内服の方針とした.MPAを計36週間使用後,5回目の子宮内膜全面掻爬術にて癌細胞は検出されず,近医で体外受精を施行する方針とした.その後本人の都合で不妊治療を中断し,子宮体癌の経過観察も中断した.8年後に,脳,肺,腟,リンパ節転移を伴う子宮体癌の再発が確認された.全脳照射を施行のうえ単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術,腟壁腫瘍摘出術を施行した.Endometrioid adenocarcinoma,Grade 3と診断され,TC療法(paclitaxel+carboplatin)を開始したところ転移巣は縮小し,現在も再発なく経過観察中である.本症例は経過観察が継続されていれば早期に再発を発見できた.また再発子宮体癌に対して放射線治療,手術療法,TC療法が有効であることが示された.
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