卵管卵巣膿瘍(tubo-ovarian abscess:TOA)は高度の骨盤内感染であり,抗菌薬などの保存的治療に抵抗性を示し,手術療法を選択せざるを得ないことが多い.今回抗菌薬治療にて症状が軽快した後も炎症反応が持続し,腹腔鏡下手術にて骨盤内癒着剝離および両側付属器摘出にて軽快した症例を経験したので報告する.
症例は44歳,2経妊2経産.両側子宮内膜症性卵巣囊胞にて紹介となる.GnRHa療法後に囊胞が再増大し,ジェノゲストの内服を開始.その後,症状は軽快し囊胞も消失傾向となり内服を中止するも,囊胞の再増大と腫瘍マーカーCA125の上昇を認め内服を再開したが,発熱・下腹部痛にて救急搬送となる.白血球12,500/μl,CRP 15 mg/dlと炎症反応は高値で,子宮内膜症性卵巣囊胞の感染と診断しセフェム系抗菌薬にて保存的治療を開始した.入院72時間後,症状・炎症所見の改善を認めず,テトラサイクリン系抗菌薬に変更するも炎症反応が持続し,腹腔鏡下両側付属器切除,骨盤内癒着剝離術を施行し軽快退院となる.
TOAは子宮内膜症性卵巣囊胞に併発し,しばしば抗菌薬に抵抗性を示し保存的治療に難渋する症例が多い.今回われわれは,TOA症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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