妊娠中の感染症は重症化しやすい.当院で経験した妊娠悪阻に関連した敗血症症例について検討した.
【症例1】38歳1経産.妊娠9週,妊娠悪阻で入院し,11日目に下痢と39.1℃の発熱を認めた.抗生剤投与を開始したが同日ショックとなり,昇圧剤投与を行った.静脈血培養でSerratia marcescensを検出し,Bacterial translocationによる敗血症と推察した.妊娠16週で胎児水腫を認め,人工妊娠中絶した. 【症例2】37歳1経産.妊娠9週,妊娠悪阻で入院し,13日目に38.5℃の発熱を認めた.抗生剤を投与したが翌日ショックとなった.各種培養は陰性だったが,便秘と下痢を繰り返した経緯からBacterial translocationによる敗血症と推察した.妊娠38週で生児を得た. 【症例3】29歳2経産,妊娠悪阻で入院歴あり.妊娠20週,38.5℃の発熱,背部叩打痛,尿沈渣で細菌3+のため腎盂腎炎の診断で入院した.抗生剤を投与したが同日ショックとなり,昇圧剤投与を行った.静脈血培養でEscherichia coliを検出し,尿路感染症による敗血症と診断.妊娠37週で生児を得た.
妊娠中の免疫力低下や妊娠悪阻による低栄養は易感染状態であるため,注意が必要である.
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