36歳,0回経妊0回経産.30歳時に長径7 cmの子宮筋腫を指摘された.自然妊娠し,筋腫は妊娠10週時に長径9 cm,妊娠37週時に長径13 cmに増大し,超音波画像で液状変性を認めたが,症状なく経過していた.妊娠40週0日に自然陣発し,2,965 gの男児を正常経腟分娩した.分娩所要時間は9時間48分,分娩時出血量は572 gであった.産褥4日目にHb 8.7 g/dLの貧血を認めた以外には経過に異常なく産褥5日目に退院した.産褥6日目,突然の腹部全体の激痛を自覚し救急搬送され,超音波画像およびCT画像で多量の腹腔内液体貯留を認めた.腹部より穿刺したところ黄褐色透明の腹水を認め,腹腔内出血は認めなかった.変性子宮筋腫の破綻と判断し,抗菌薬,鎮痛剤,補液による保存的治療を試みたが症状改善せず,産褥7日目に緊急開腹術を施行した.筋腫は広間膜内に発育した漿膜下筋腫で,内部は囊胞状であり大部分が液状変性していた.2か所に約5 mmの穴が開いており内容液が漏出しており,約2,600 mLの腹水貯留を認めた.約13 cm大の子宮筋腫を核出し,術後病理組織学的診断は高度の変性を伴う子宮筋腫であった.術後,症状はすみやかに改善し術後7日目(産褥14日目)に退院した.子宮筋腫合併妊娠における産褥期の急性腹症では,変性子宮筋腫の破綻を鑑別診断に挙げ,時期を逸することなく外科的切除に踏み切る必要がある.
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