分節異常骨異形成症(dyssegmental dysplasia:DD)は,常染色体劣性の遺伝形式をとる稀な予後不良の骨系統疾患である.今回,超音波,3DCTによって胎児診断し得たDDの一例を経験した.32歳1経妊1経産,家族歴に骨系統疾患はない.妊娠20週の胎児超音波で大腿骨長の短縮を認めたことを契機に精査された.妊娠20週での全ての長管骨は-4 SD程度で,骨折や骨変形は指摘できなかった.31週に3DCTを施行したところ,骨幹端の拡大によるダンベル様変形,長管骨の軽度湾曲,椎体の大小不同を認めDDが疑われた.外来で経過観察中,34週1日に前期破水のため入院となり,34週4日に胎児機能不全の診断で緊急帝王切開術とし,男児,1,960 g,Apgar score 5/7を娩出した.出生時啼泣は認めたが,酸素化不良となり挿管を要した.新生児遷延性高血圧症のため一酸化窒素(NO)吸入療法を施行し,日齢29日に抜管し,その後は上気道狭窄のため経鼻air wayを要した.呼吸管理中に肺膿瘍を併発したが,軽快し日齢160日に退院となった.生後1年時点で,呼吸器合併症は併発せずに経過している.本疾患は報告例も少なく不明な点も多い.出生前画像診断で本疾患が想定でき,速やかにNOを使用できたことでスムーズな呼吸管理が可能となった.胎児超音波と3DCTによって本疾患の場合にも正確な診断が可能であった.
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