婦人科領域の悪性腫瘍においてPaclitaxel/Carboplatin(TC)療法は最も使用されるレジメンである.TC療法を反復した場合,Paclitaxelに対する末梢神経障害性疼痛,筋肉痛を多くの症例で認めるが,Carboplatinに対する有害事象としての過敏反応の出現によって投与法や,レジメンの変更を余儀なくされることがある.
腟癌・食道癌・子宮肉腫疑いの重複癌の症例に対しTC療法を施行し,Carboplatinが原因と考えられる全身に非常に強い瘙痒感を伴う中毒疹を発症した症例を経験したので報告する.
症例は75歳3経妊2経産,不正性器出血を認め当科受診した.腟壁に易出血性の直径3 cm大の隆起性病変を認めた.病理組織診断はcarcinomaで,肺転移も認めたため腟癌IV期と診断した.また全身精査で食道癌・子宮肉腫の疑いも認めたため,TC療法(Paclitaxel 180 mg/m2,Carboplatin AUC6)を選択した.化療1コース目Day8に首周囲から上半身へ広がる瘙痒感を伴う紅斑を認めたが,ベポタスチンベシル酸塩内服とジフルプレドナード塗布によって改善した.
TC2コース目のDay2から非常に強い瘙痒感を伴う全身性紅斑が出現し,増悪したため皮膚生検を施行した.病理組織診断はMild perivascular lymphocytic infiltration in dermisであった.Carboplatinが原因と考える中毒疹と診断した.Doxorubicin/Cisplatin(AP)療法のレジメンを変更した後は,皮膚障害は認めていない.
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