Turner症候群は45,Xを代表的な核型とする性分化疾患であるが,約5%でY染色体成分を有するモザイク核型が存在し,それらの症例では高率に性腺腫瘍を発症する.45,X/46,XYの染色体構成をもつTurner症候群でdysgerminomaを発症した1例を経験したので報告する.症例は20歳の未経妊の女性で腹腔内腫瘤を指摘され当科へ紹介された.MRI検査で長径13 cmの隔壁状構造を有する充実性腫瘤を認めた. 16歳時に無月経を主訴に他院を受診し,染色体検査で45,X[3]/46,XY[27]を指摘されていたが,カウンセリングや定期検診は行われていなかった.低身長,高口蓋と斜視を有し,染色体検査で45,X[6]/46,XY[24]の核型が確認され45,X/46,XYの染色体構成をもつTurner症候群,卵巣dysgerminomaと術前診断し,単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術,大網切除術を施行した.腫瘍は右卵巣由来で未熟な子宮と白色で索状の左卵巣を認めた.病理検査で右卵巣dysgerminoma IIB期と診断し,術後BEP療法を3コース施行し,治療後7か月経過したが再発所見は認めていない.Y染色体成分を有するTurner症候群では性腺腫瘍が発生しやすく予防的性腺摘出を視野に入れたカウンセリングと継続的かつ慎重な経過観察が重要であると考えられた.
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