傍卵巣腫瘍の境界悪性例は,国内外含めても報告は少ない.当科では,過去3年間に2例の境界悪性傍卵巣腫瘍の症例を経験したので報告する.
症例1は,32歳,1経妊0経産.検診で囊胞性付属器腫瘍を指摘された.右傍卵巣囊腫の診断で,腹腔鏡下に右傍卵巣囊腫摘出術を施行した.病理診断は,Serous papillary cystic tumor,borderline malignancyであった.追加手術として,腹腔鏡下に右付属器切除術を行った.腹水細胞診class II.病理診断で,境界悪性腫瘍の遺残は認めなかった.その後,3年間再発所見を認めず経過している.
症例2は49歳,0経妊0経産.下腹部痛を主訴に受診し,13 cm大の変性を伴う子宮筋腫を指摘された.子宮筋腫の診断で,腹式単純子宮全摘術および両側卵管切除術を施行したところ,術中,両側卵管采に1 cm大の囊胞性腫瘤を認めた.また,腹膜にも1 cm以下の腫瘤を認めた.病理診断で,卵管采及び腹膜の腫瘤はSerous borderline parovarian tumor with micropapillary patternであった.現在,経過観察中である.
術前に,傍卵巣腫瘍の悪性度を判別するのは困難な場合がある.悪性の可能性の有無にかかわらず,できるだけ破綻させることなく摘出するのが望ましいと思われた.
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