前仙骨髄膜瘤(anterior sacral meningocele:ASM)は脊髄破裂の特殊型であり,仙骨前面の骨欠損部より髄膜組織が脱出して骨盤内に髄膜瘤を形成する先天性疾患である.今回,卵巣囊胞性疾患疑いのため紹介となり,術前精査によりASMと診断した症例を経験した.ASMは,不用意な手術により,重篤な合併症が生じ得る疾患であり,手術療法を行う際には,術前の十分な画像評価が必要と考えられた.骨盤内腫瘍は,婦人科疾患以外にも様々な臓器から発生するものがあり,解剖学的,生理的な観点から,他臓器疾患の可能性を念頭に鑑別を行うことが重要である.超音波検査における隔壁の途絶は,本疾患を疑う所見の一つになると考えられた.
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