【目的】全前置胎盤での癒着胎盤を予測する周産期因子を抽出する.
【方法】2009年1月から2015年12月までに当院で妊娠分娩管理を施行した全前置胎盤例を対象とし,患者背景,超音波所見,MRI所見と癒着胎盤との関連について検討した.患者背景は,高年妊娠,既往帝王切開後妊娠,既往子宮手術,経産数,高度不妊治療,婦人科合併症,超音波所見は,clear zoneの消失,Finberg grade 3の胎盤ラクナ,膀胱壁の断絶,および子宮筋層の1 mm以下の菲薄化所見,MRI所見は,子宮筋層の不整,膀胱壁への子宮壁の不整な突出所見,およびT2強調画像で描出される胎盤内のdark band所見について検討した.統計学的手法はχ2乗検定またはFisherの直接法を用い,p<0.05を有意差ありと判断した.
【結果】全前置胎盤例は54例,癒着胎盤は16例(29.6%)であった.周産期因子として,既往帝王切開,高年妊娠,超音波検査におけるclear zoneの消失,grade 3の胎盤ラクナ,膀胱壁の断絶所見が抽出された.
【結論】全前置胎盤において,既往帝王切開,高年妊娠,および超音波検査におけるclear zoneの消失,grade 3の胎盤ラクナ,膀胱壁の断絶所見を認める際には癒着胎盤の頻度が高く,多量出血や妊娠子宮全摘術の可能性を念頭においた周術期管理を行う必要がある.
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