Yolk sac tumorは若年女性に多く,他の上皮性卵巣腫瘍と好発年齢が異なるため,患者年齢は診断の重要な要素である.Yolk sac tumorと明細胞腺癌は組織像が似ており診断に苦慮することがある.40歳代の患者で内膜症性囊胞を背景に発生し,明細胞腺癌との鑑別に苦慮したyolk sac tumorの症例を経験した.患者は43歳2経妊1経産,健診で異常を指摘され,画像検査で内膜症性囊胞内に充実成分を認めたため明細胞腺癌もしくは類内膜腺癌と考え手術を行った.組織像で内膜症性囊胞内部にendodermal sinus patternを伴う腫瘍を認め,免疫染色でAFP陽性,SALL4陽性,CK7一部陽性であり,内膜症性囊胞に発生したyolk sac tumorと診断した.BEP療法を行い現時点では再発を認めていない.本症例では内膜症性囊胞にyolk sac tumorが生じおり,発生機序は不明であるが本症例ではyolk sac tumorの好発年齢と異なることもあり上皮性悪性卵巣腫瘍との鑑別に苦慮した.Yolk sac tumorと上皮性卵巣腫瘍の共存の報告があるが,本症例では狭義のyolk sac tumorと考えられた.本症例の診断にはAFPやSALL4の免疫組織化学が有用であった.
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