妊娠・分娩時におこる大量出血(以下,周産期領域の出血)に対する経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)に伴うと考えられる合併症と次回妊娠時の予後について検討したので報告する.
対象は2001年1月から2016年6月に周産期領域の出血に対してTAEを施行した108症例である.産後出血に対してTAEを行ったのは96例で,15症例(16.8%)に短期合併症を認めた.TAEの適応,塞栓物質,塞栓血管の範囲に有意な差を認めなかった.TAE後に妊娠したのは16症例17妊娠で,癒着胎盤は5症例(29.4%),常位胎盤早期剝離が2症例(11.8%)で胎盤の異常が多かった.周産期領域の出血に対してTAEを行う場合,その方法を迅速に判断する必要がある場合が多いが,そのような状況下でも患者や家族に対して起こり得る合併症について適切に情報提供を行うとともにTAEを行った症例では合併症の有無など長期的な経過観察が必要であると考える.
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