子宮頸部細胞診報告のASC-H(atypical squamous cells, cannnot exclude HSIL)の診断の範囲は,良性病変から浸潤子宮頸癌と多岐に渡る.その頻度は報告により様々であり,臨床的意義を患者へ説明する際に苦慮することも多い.当院におけるASC-H判定例の臨床的意義・取り扱いを検討した.2014年1月から2015年12月において当院初診となり,ASC-Hと判定された43例を対象とし,患者背景・臨床経過について後方視的検討を行った.
【成績】対象の年齢中央値は43歳(28~67歳),閉経後の症例が9例であった.組織診断の結果,CIN2以上の病変は27例(65%),うち浸潤癌は4例(9%)であった.浸潤癌4例のうち2例は頸部組織診,2例は円錐切除により浸潤癌の診断を得た.年齢別の検討では,閉経後でCIN2以上の病変の割合は11%であったのに対し,閉経前では79%であり,有意に陽性的中率が高い結果であった(p=0.004).
【結論】閉経後では萎縮上皮や炎症を背景として,良性病変であってもASC-Hと評価される可能性が高い一方,閉経前においてはCIN2以上の病変の割合は高く,より慎重な管理が求められる.
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