[はじめに]2017年4月1日より,本邦で血清中のヒト精巣上体タンパク4(HE4)が卵巣悪性腫瘍の診断補助マーカーとして新規保険適用となり当院で先行導入を臨床研究として行った.[目的]HE4検査の有効性および問題点を検証する.[対象]当院で2016年10月から2017年5月にHE4検査を行い,手術を施行した卵巣腫瘍患者46例.[方法]卵巣腫瘍手術を施行予定の患者に検査を施行し前方視的に解析した.境界悪性および悪性腫瘍を悪性群とし,良性群と比較した.卵巣悪性腫瘍推定値(ROMA)はCA125とHE4を組み合わせて算出した.[結果]全症例46例中,良性群は33例(未閉経21例,閉経12例),悪性群は13例(未閉経4例,閉経9例)であった.全症例における(感度,特異度)は,CA125(77%,67%),HE4(62%,88%),ROMA(92%,67%)であった.[結論]HE4は最も特異度の高い検査であり,CA125とHE4を組み合わせて算出したROMAはCA125単独よりも感度が高い結果であった.CA125が高値でHE4が陰性であれば良性の可能性が示唆されるが,その条件下でもROMAが高値ならば悪性の可能性も十分考慮して積極的な画像診断を推奨しつつ,婦人科受診の機会を早める必要性がある.
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