Gartner管囊胞はWolf管の遺残が囊腫状に変化したものである.腟壁囊胞の約10%を占めるといわれているが,報告数は少なく診断に苦慮することが多い.Gartner管囊胞を疑い,開窓術を施行した2例を経験したので報告する.
症例1は,32歳,0妊0産.外陰コンジローマの治療後に腟前壁の軟部腫瘤が認められ紹介受診した.経腟超音波検査では子宮と膀胱の間に径5 cmの囊胞性腫瘤,MRIではT1で高信号,T2で低信号を呈する径5 cmの囊胞性病変がみられた.排泄性尿路造影,膀胱鏡を施行して尿路系奇形の合併がないことを確認した.経腟的に囊腫開窓術を行い,腟壁切開すると悪臭を伴う白色内容液が流出した.術後は増大傾向なく経過良好である.症例2は44歳,1妊1産.20年前の分娩後に腟壁の囊胞が指摘されていた.膀胱刺激症状がみられたため紹介,経腟超音波検査で前腟壁に径5 cmの囊胞性腫瘤あり,MRIで囊胞性腫瘤を確認するとともに排泄性尿路造影,膀胱鏡を併用して生殖尿路系の奇形を否定した.経腟的に囊腫開窓術を行い,術後2か月の骨盤造影MRIで残存病変はみられていない.
2例とも術前検査でGartner管囊胞を疑い,開窓術を施行した.骨盤MRI,排泄性尿路造影,膀胱鏡を施行して単独発生のGartner管囊胞と診断し,泌尿器系疾患の鑑別および生殖尿路系の奇形の有無を確認する必要性を経験した症例であった.
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