副角妊娠は本邦で全分娩の0.007~0.008%と稀であり,50%以上は破裂に至るとされている.今回我々は妊娠25週に急性肝障害,ショック状態で搬送され副角妊娠破裂と判明した一例を経験した.症例は39歳,前医で双角子宮の右側妊娠と診断されていた.妊娠25週に下腹痛と排尿障害が出現し,さらに胃痛,嘔気,心窩部痛と血液検査で著明なAST,ALTの上昇を認めたため入院となった.翌日の腹部超音波検査では胎児心拍,羊水を認めず,急激な腹痛の出現と意識レベルの低下のため当院へ救急搬送された.来院時はショックバイタルであり,造影CT検査から双角子宮の破裂と診断し緊急開腹手術を施行した.術中所見では右側の副角妊娠破裂であり,胎児は子宮外に脱出していた.副角子宮ならびに副角より起始する右卵管を摘出し,主角の子宮を形成した.血清AST・ALT値は入院時をピークとしてその後は自然に改善した.AST・ALT値の上昇は,徐々に進行した副角破裂による筋細胞障害,それに続き生じたshock liverによると考えられた.副角子宮,副角妊娠の診断は困難であるが,MRI検査や3D超音波検査の有用性が示唆されており様々な方法で早期に診断することが重要である.
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